放射線科は医師と連携して、的確で迅速な診断・治療に貢献することを目的にしている診療科です。主な診療内容はCT、MRI、レントゲンを用いた撮影を行っており、診断・治療に役立つ画像をつくりだす部門です。
特に医療事故の防止、医療機器および装置の保守管理に注意を払い、検査時間も極力短い時間で終わるように努力しております。
また、MRI検査やCT検査、骨密度検査は近隣の医療機関からのご依頼も承っております。
ご入用の際は、お電話をいただければ詳細をご説明させていただきます。
MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴画像装置)とは、レントゲン撮影やCT検査のようなX線は使わずに、電磁波と強力な磁気の力を利用して体内を任意に撮影する検査です。
脳や脊椎などをはじめ全身の様々な状態を詳しく鮮明に検査できます。
造影剤を使用しなくとも血管などを描出することもできます。
また、当院では全身MRI検査のDWIBS(ドゥイブス)撮像も行っております。
当院では、キヤノンメディカルシステムズ社製VantageTitan1.5T装置を導入しており、開口径が約71cmと広いので圧迫感が少なく、また静音機構を搭載した装置のため患者さまの負担を軽減して検査を受けられます。
早期アルツハイマー型認知症診断支援システム(VSRAD)やMRS定量解析システム(LCmodel)なども導入しております。
当院では、2017年よりMRIによる全身のがんの発見や転移の検索において最新の画像技術を用いた「DWIBS法」を行っております。
この検査法を考案した医師が主催する研究会にも毎年参加し常に研鑽しています。
また、使用装置メーカーとも連携を図り画質向上に取り組むなど、県内において同装置における DWIBS検査を行っている施設の中でも多くの検査を行っている施設の一つです。
MRIを使用して体の広い範囲にわたってがんや転移などを探す全身がん検査です。
頚部・胸部・腹部・骨盤を1度の検査で撮影し、全身の状態を調べることができます。
DWIBS検査では、拡散強調像という撮影方法を用いています。
悪性腫瘍は細胞密度が高い(細胞と細胞の間が狭い)ことに着目し、細胞間の水の動きをもとに悪性腫瘍を検索します。
この検査法は、日本人医師によって2004年に考案された新しい検査方法です。
検査時間は、通常のMRI検査より少し長く、40~50分程度かかります。
強い痛みによって動いてしまう患者さまや認知症でじっとしていられない患者さまは、検査が出来ない場合があります。
また、手術によって体内に金属がある患者さまの場合、画像に影響が出ることがあります。
通常のMRI検査と同様に、ペースメーカーなどを装着されている方は検査を受けることが出来ません。
がんを患う患者さまは、「がんが再発していないか・・・」「痛みは無いけど、どこかに転移をしていないか・・・」など、いつも不安でいっぱいだと思います。DWIBS検査は、新たな全身検査の選択肢の1つとして、患者さまに貢献していきます。
どの診療科にかかられましても、検査をご依頼いただけますので、まずは各診療科、主治医にご相談ください。
病変が見つかった場合は、大学病院や近隣の医療機関など連携医療機関にご紹介させていただきます。
DWIBS法(MRI) | PET(PET-CT) | |
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対象者 |
①原発巣の検索 ②転移や再発の検索 ③血液のがんの検出 ④治療効果判定可能時期 |
①原発巣の検索は不可 ②転移や再発の検索 ③血液のがんの検出 ④治療効果判定可能時期 |
測定原理 | 水素原子(プロトン)の拡散制限を利用 | ブドウ糖の取込み差を利用(糖代謝) |
被ばく | なし | 検査薬(FDG)、CTの両方で被ばくあり |
薬剤・注射 | なし | 検査薬(FDG)を注射する必要がある |
検査前処置 | なし | 検査前6時間前から絶食、インスリン制限あり |
検査後処置 | なし | 検査後、しばらく検査区域から出られない |
検査時間 | 約40分~50分 | 約30分~40分(注射からだと約3時間) |
検査費用 | 保険適用(3割負担):約6,000円 | 保険適用(3割負担):約30,000円 |
キャンセル・変更 | 可能(費用なし) | 直前(2日前)のキャンセル不可 (検査薬の費用負担発生) |
苦手な部位 | 脾臓・精巣など (正常においても高信号になる部位) |
脳・腎臓・尿管・膀胱など (排泄経路にある腫瘍は検出が難しい) |
その他 | MRI検査を受けられない方 *ペースメーカーなど禁忌のものがある *強い痛みや認知症などで動いてしまう *体内に金属がある場合は、画像に影響します |
糖尿病患者や腎不全の患者は検査が出来ない 妊婦や小児には行われない(被ばくの観点から) |
注意! ブイエスラド検査はあくまで海馬近傍の萎縮を客観的に評価する検査です。海馬近傍の萎縮が見られても、アルツハイマー型認知症とは限りません。症状・経過などと合わせて診断してもらうことが大切です。
「骨密度」は、骨の強さを判定するための代表的な指標です。
骨密度検査では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定します。
骨の密度を測定することで主に骨粗しょう症の診断に用いられます。
また、ホルモンバランス異常や先天性の代謝性骨疾患による診断などにも用いられます。
骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表されます。
当院ではガイドラインに沿った富士フイルムへルスケア社製ALPHYS LF 骨密度装置を導入しております。 骨粗鬆症による骨折が起こりやすく重要視されている、腰椎(背骨の下部)と股関節(足の付け根)の2か所を測定して総合的判定します。寝るのが困難な方などは、座った状態にてガイドラインに沿った前腕部で測定をして判定いたします。
※骨密度を測定する方法はいくつかあり、医療機関によって別の方法で骨密度を測定することもあります。
また、検査方法や測定部位によって値に違いが出ることがあります。
CTとはコンピューター断層撮影(Computed Tomography)のことで、X線とコンピューターを用いて体の輪切りの画像を得ることができる装置です。一般撮影で得られる画像は、一方向からのX線が透過してできる重なりの画像に対し、CT検査で得られる画像は、大きな穴に体を通し周囲からX線をあて、それぞれの方向からのX線をコンピューターで処理することにより輪切りの画像を作成しています。
当院では、富士フイルムヘルスケア社製64列CT Supria Grandeを設置しています。当院の装置は、一回の撮影で同時に複数の輪切り像が得られる最新型のマルチスライスCTスキャナーです。
16列CTでは困難であった広範囲かつ高精細な画像の描出が通常の検査で可能になりました。姿勢を保つのが困難な方や、長い息止めが困難な方の負担を軽減することができます。また、画質と被曝線量バランスに配慮した撮影を行うことができる装置です。