DOCTOR MESSAGE

整形外科 伊藤吉賢

子供の頃の父の入院が、医師を目指すきっかけ

私が医師を目指すきっかけになったのは、小学1年生の時に、父親が劇症肝炎で病院に入院したことです。生死の淵をさまよった父は、重傷患者病棟にいました。当時は、父親が重症だということは知らされていませんでした。お見舞いに通ううちに、たまたま隣のベットで治療されていたおじさんと仲良くなり、いろいろな話しをしたのを覚えています。ある日、お見舞いに行くと、そのおじさんがいなくなっていました。「どうしたの?」と父親に聞くと、「良くなって、退院したんだ」と父は答えましたが、子供心に「亡くなったんだ」と直感的に理解したのを覚えています。幸い父の病は治り退院しました。担当してくれた医師に大変感謝しましたし、同時に医師という職業がとてもかっこよく見え、自分自身も医師になろうと思いました。

笑顔あふれる豊かな人生を

痛みは人の心を暗くさせます。
自分自身も頚椎椎間板ヘルニアや、肩関節周囲炎(いわゆる50肩)の経験があり、痛みで夜も眠れない日々が続くと、痛みのない日常がどれだけ幸せだったか思い知る事がよくあります。ですから、腰痛、膝痛などで来院される方のお気持ちはよくわかります。また年齢とともに、青年期と違って身体が思うように動かなくなるのも自然な流れですが、とはいえ辛いものです。自分の祖母も変形性膝関節症があり、水が膝に溜まって「痛い、痛い」と話していたのを覚えています。私が整形外科を選んだのは、祖母の膝の痛みをとってあげたかったから。年齢による変形からくる疾患に関しては、若返りの薬はないので完治することは難しいですが、少しでも痛みが取れて気持ちも軽やかに、日常生活が送れるようになるお手伝いができると嬉しいと思います。

地域に根ざした、心のかよった医療提供

「病気を診ずして病人を診よ」これは、私の母校である慈恵医大の建学の精神です。この言葉は、病んでいる「臓器」「部位」「肉体」のみを診るのではなく、病に苦しむ人に向き合い、その人そのものを診ることの大切さを表していると考えています。それぞれの疾患には、さまざまな治療方法があります。どれか一つだけが正解ではなくて、疾患の状態や、患者さんの希望など総合的な判断が必要だと感じています。患者さんと向き合い、お一人お一人に最善な治療を提供できたらと考えておりますし、少しでも柏地区の地域医療に貢献させて頂きたいと考えています。